5.BATNA(バトナ)という概念

不動産と同じように会社(株式等)を売買仲介するM&Aの用語の一つに「BATNA(バトナ)」というものがあります。
本来的には「交渉合意に至らなかった場合の最良の代替案」という意味、と定義されているようです。
買う方は安く買いたい、売る方は高く売りたい、というのは不動産の売買と同じです。
買う方は高く買える上限、売る方は安くても売ってしまえる下限で
「これ以上譲れない」という限界を設定して交渉する、というところも同じです。
交渉合意に至るのは、必ずこの「BATNA」の間(上限と下限の間)」と言われています。

比較サイトや高く売ります、という広告宣伝がありますが、それは売る側の一方的な希望的観測の数字であって、買う側の目線が欠けているため信ぴょう性には疑問を付けざるを得ません。
しかし、売る側の方は「BATNAの下限(売る側の限界)」の金額を知っておくための手段としては使うのも「アリ」でしょう。
いずれにせよ、甘い言葉を信じて「やってみなければ分からない」と安易に乗っかるのは止めましょう。

買う方は懸命に貯めたお金を頭金に、一大決心して一生かけてローンを返済していく覚悟をします。
「高く売れたらラッキー」という売主と「これ以上は...」という買主では、決意の度合いが違います。買主は文字通り「必死」です。
そんな買主に対して、高く売りつけることは極めて困難でしょう。不動産取引は、どこまで行ってもその殆どは「相場」で落ち着きます。

我々宅地建物取引業者の本来業務である仲介は、高く売りつけることに与することも安く買いたたくことに与することも本来の姿ではありません。適正な取引のお手伝いをすることが与えられた使命です。